2009年03月02日(Mon) 環境よりも経済?

オバマ米大統領が打ち出した、グリーン・ニューディール政策については世界各国のメディアも評価している。「景気対策」、「エネルギー安全保障」、 「雇用の創出」、そして「温室効果ガスの排出削減」と4つのメリットとあっては批判するものは少ないだろう。他の国々も同様の対策を講じていくだろう。 (・・・日本は大丈夫?)

グリーン・ニューディール政策の4つのメリットのうち、「景気対策」のプライオリティーが高いのではないだろうか、と仮定すると、もし米国の景気が 悪くならなければこのような政策は出てこなかった、或いはこれほど赴きを置かなかった事になる。この仮定上で行けば世界のCO2削減にはラッキーだったと 言える。

決して皮肉った話をするつもりはないが、社会では目前の問題が優先される。まぁ・・・簡単に批判はできない。

日本では「エコ」という幾つかの意味を持つ言葉が多発するようになって久しくなった。似非やエコを傘に着た商戦も多い。

少し考えてみた。

■エコスマイル

・・・ しかめっ面ばかりしていると周囲に嫌な印象を与える。自身の健康にも良くない。これを経済損失につながる。

ニパッと気持ちのいい笑顔を続けていると仲間も増え、コミュニケーションが多くなり、経済だけでなく楽しさも向上する。健康にも良く、医療費を減らせる。

■エコ恋愛

・・・ 暖かい愛に包まれていると寒くない。暖房費の節約になる(夏はどうする!)。また、愛する人のために色んなことを頑張れる。だから多くの恋愛をしよう!

・・・なんて事を書いているより、消灯して帰ろう。その方が省エネになる。

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2008年12月29日(Mon) 上がったり下がったりを超えようじゃないか。

年の瀬である。

オフィスの机を整理すると、あっという間に段ポール2箱分くらいの不要な書類がたまる。毎年の事ではあるが、昔から何かを整理していると、色々な事を思い出してなつかしくなり、手が止まる癖がある。よく周りからは「早くやれ」とせかされる。

今年の捨てていく書類や資料を眺めていて、確かに今年はラジカルだったなぁ、と思った。

コーポラティブハウスの候補地は定期的に探しているので、分譲マンションなどでは小さめの中途半端なサイズの売り地情報が良く集まる。これらの情報の多くは年末に廃棄される。今年の前半までは「うそだろう!」と思うほど高い値段の土地が多かった。

徐々に、割高感が薄れて今は随分と落ち着いている。安くなったというより元に戻ったというのが私の感覚である。

不動産市況も景気や物価動向に影響されるので常に一定ではないが、私が企画しているコーポラティブハウスの取得価格はあまりブレていないと思う。相 場から鑑みると比較的割安だと思っている。これは、企画をする上での大きなポリシーだ。もちろん安かろう悪かろうではない。(この秘訣はいずれ別に記載し ます。)

以前も書いたが、自ら住む住宅は投機の対象ではない。しかし、買い換えるときに安くなってしまっては足かせになるので低価格で取得することは安心につながる。

よく、家の「買い時」について聞かれる。単なる物価だけでの話しであれば、

「底で買って、高値のピークで売る」ということをいう方もいるが、そんなタイミングをつかんで、且つ希望するエリアや条件で買って、売るなんて事は殆どの人ができない。

あまり損得だけにこだわって、価格ばかり考えていると家を持って家族と幸せに暮らすタイミングを逃してしまう。

経済的にも、条件的にも100%満足できるものなどないのだから、あまり欲張らない寛容さが肝要だと思う。

そういう私は、不満だらけの狭い家で(割と)幸せに暮らしている(つもりだ)。(本当は早く買い換えたい・・・)

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2008年09月12日(Fri) 後出しのジャーナリズム

哲学者アダム・スミスの明言「神の見えざる手」とは。

今や拡大解釈され、「経済動向は誰にも予測ができん!」などとして用いられることもあるが、そもそもは、人が自己の利益を追求して活動することに よって、それが神の見えざる手によって社会に還元され市場の価格メカニズムや資源の適正な配分が行われる。というものだ。(専門家からは突込みが入りそう な大雑把な訳し方ですが・・)

それが転じて、神の手が市場を操っている・・・、経済動向は人には予測できん!、となってしまった。

全く出来ない訳ではない。色々な要因を分析していけばある程度予測できることはある。しかし、長期予測は難しい。

最近週刊誌などでは、不動産の市況低迷やデベロッパー、ゼネコンの倒産リスクについて、さもしたり顔で危機を煽り立てている。

昨年の夏ごろの記事を見ると、「これからマンションは2割以上値上がる」、「今が底値買い」など、これから不動 産はどんどん高くなって資産形成になる、といった書き立て方をしていた。既に一般サラリーマンの所得ではマイホームが買えない水域に達しようとしていた最 中、また、米国の住宅価格は頭打ちになり、サブプライムローンの焦げ付きも表面化していた最中である。

それが、1年足らずの間に不動産・建築企業の「同時多発破綻」の見出しに変わる。

時事を伝えるのがジャーナリストならば、状況を克明に伝えることは必要だ。しかし上向きのときも下向きのときも、この煽る論調は慎むべきである。

こうした、スキャンダルや、何かを煽る論調の記事が多いのも「神の見えざる手」によって行われているのだろうか・・・。

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2008年07月16日(Wed) 200年住宅 その2

「その1」のつづき・・・

200年建物を維持するということは、並大抵のことではない。

その1.で挙げた中古住宅のマーケットが大きい各国でも建物の寿命は、アメリカで55年、イギリスで77年である。

超長期住宅を建てるだけでなくきちんと使っていこうとすると、寿命の三要素をカバーする必要があるので、

①物理的に丈夫で、

②ライフスタイルの変化に対応して加工しやすくし、

③維持管理がしやすい(コストもかかりにくい)

建物を建てて、且つ、維持管理をきちんとしていかねばならない。

建築技術は進歩していて、①は充分可能。通常の2割増のコストで可能といわれている。②については。構造をスケルトンインフィルに分けて内部の間取 りや仕上げを変更しやすくする。また、配管や配線を付加できるような構造にしておく。③については設備類をメンテナンスしやすい構造にすることや耐久性の ある建材を使うなどに工夫でクリアー。

と、めでたしめでたし!、の話のようであるが、実際にできるのだろうか?

実際に欧州の組石造の建物や日本の古民家などは200年以上使われているのだが、世界を見回してもかなり希少な建物ばかりだ。本来維持できる建物も経済情勢や社会情勢による都市計画(まちづくりという名の開発等)などによって、その姿を残さなくなっている。

また、ストックが過剰な戸数(現在でも世帯数に対して700万戸のオーバーストック)になった場合、そもそも住む人がいなくなる、なんて事はないだろうか。・・・自ずと社会的な寿命を迎えることになる。

今後も既存の建物がどんどん寿命を迎えていくので、それらが超長期住宅(200年住宅)に建替わるまでに相当な期間を要するだろう。したがって直ぐに超長期住宅がスラム化することはない。だが、200年先までヨメナイ。

先にも記載したとおり長期に使える建物が増えることについては大賛成である。また、戸建てでは30年程度で価値がなくなってしまう日本の中古住宅流通は異常であり、これらは改善されるべきである。

しかし、いきなり200年というのは如何でしょうか。平成14年、16年に自民住宅土地調査会で政策提言された「100年住宅」くらいにして、もっと実行性の高い誘導をしたほうが良いのではないでしょうか。

尚、建物の寿命を延ばすことによって中古住宅の価値を高めて流通させていく、ことについては、また別の機会に記載します。

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2008年05月01日(Thu) 200年住宅 その1

日本がスクラップアンドビルド大国なのは間違いない。

政府が政策提言している200年住宅について、簡単にコメントしてみようと思ったが、端的にコメントできないことに気づいた。(私の能力不足と年を取ってきてクドクなったのと両方だろう。)

この話は長~くなるので数回に分けて書いくことにします。(後半は誰も読んでくれないかもしれない・・)

数年前に、とある企業の依頼で日本でなぜ中古住宅の価値が著しく下がってしまうのか、また、きちんと手を加えることで価値を維持しながら流通(売り買い)させることはできないのか、ということについて調査と考察を行った。

欧米にならうことは好きではないが・・、住宅全体の流通のうち、中古が占める割合は、フランス71%、アメリカ77%、イギリス89%に対して、日本はたったの12%である(最新のデータではほんの少し高くなりつつあるようであるが)。

このデータを聞くと、「日本は地震が多いから」などという人がいるが、ブブー、全然違う。

建物の寿命には、①物理的な寿命(劣化してモタナイ)、②経済的な寿命(直すより建替えた方が安い或いはもっと価値が上がる)、③社会的寿命(今の ライフスタイルに合わなくて使う人がいなくなる、価値が著しく下がる)、の3つがあるが、①の物理的な寿命は建築技術が進歩した今日では半永久的に延命で きる。

今スクラップされる建物は②か③である。

前後から高度成長期に数を優先してきた建物が、耐用年数、長く使うための可変性を欠いていたことは大きな要因であるが、そもそもメンテナンスをしっ かり行う習慣、文化が根付いていなかったことは大きい。メンテナンスをしないことによって、ダメージの大きくなった建物は直すより、建替えてしまった方が 良い、ということになるケースは多い。

アメリカの住宅は決してスペックが高くない。一般的なツーバイフォーの住宅であれば日本のハウスメーカーの方がよほど品質は高いと思う。

カーペンターズボンを履いてお父さんが壁のペンキ塗りをしている光景をアメリカのテレビドラマなどで見たことがある人は多いと思うが、住み替え(買 い替え)が比較的多く行われる中で、より価値を維持していこうという習慣が根付いているのである。そしてDIYのためのホームセンターが充実した。

住宅ストックは社会的な資本であり、また、エネルギーや環境問題が叫ばれている今日において、長~~~く使える住宅を増やしていこうという提言について私は全く異論が無い。大賛成だ。

しかし、・・・(ここからが本旨、次回につづく・・)

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