2008年05月01日(Thu) 200年住宅 その1

日本がスクラップアンドビルド大国なのは間違いない。

政府が政策提言している200年住宅について、簡単にコメントしてみようと思ったが、端的にコメントできないことに気づいた。(私の能力不足と年を取ってきてクドクなったのと両方だろう。)

この話は長~くなるので数回に分けて書いくことにします。(後半は誰も読んでくれないかもしれない・・)

数年前に、とある企業の依頼で日本でなぜ中古住宅の価値が著しく下がってしまうのか、また、きちんと手を加えることで価値を維持しながら流通(売り買い)させることはできないのか、ということについて調査と考察を行った。

欧米にならうことは好きではないが・・、住宅全体の流通のうち、中古が占める割合は、フランス71%、アメリカ77%、イギリス89%に対して、日本はたったの12%である(最新のデータではほんの少し高くなりつつあるようであるが)。

このデータを聞くと、「日本は地震が多いから」などという人がいるが、ブブー、全然違う。

建物の寿命には、①物理的な寿命(劣化してモタナイ)、②経済的な寿命(直すより建替えた方が安い或いはもっと価値が上がる)、③社会的寿命(今の ライフスタイルに合わなくて使う人がいなくなる、価値が著しく下がる)、の3つがあるが、①の物理的な寿命は建築技術が進歩した今日では半永久的に延命で きる。

今スクラップされる建物は②か③である。

前後から高度成長期に数を優先してきた建物が、耐用年数、長く使うための可変性を欠いていたことは大きな要因であるが、そもそもメンテナンスをしっ かり行う習慣、文化が根付いていなかったことは大きい。メンテナンスをしないことによって、ダメージの大きくなった建物は直すより、建替えてしまった方が 良い、ということになるケースは多い。

アメリカの住宅は決してスペックが高くない。一般的なツーバイフォーの住宅であれば日本のハウスメーカーの方がよほど品質は高いと思う。

カーペンターズボンを履いてお父さんが壁のペンキ塗りをしている光景をアメリカのテレビドラマなどで見たことがある人は多いと思うが、住み替え(買 い替え)が比較的多く行われる中で、より価値を維持していこうという習慣が根付いているのである。そしてDIYのためのホームセンターが充実した。

住宅ストックは社会的な資本であり、また、エネルギーや環境問題が叫ばれている今日において、長~~~く使える住宅を増やしていこうという提言について私は全く異論が無い。大賛成だ。

しかし、・・・(ここからが本旨、次回につづく・・)

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