2008年07月16日(Wed) 200年住宅 その2

「その1」のつづき・・・

200年建物を維持するということは、並大抵のことではない。

その1.で挙げた中古住宅のマーケットが大きい各国でも建物の寿命は、アメリカで55年、イギリスで77年である。

超長期住宅を建てるだけでなくきちんと使っていこうとすると、寿命の三要素をカバーする必要があるので、

①物理的に丈夫で、

②ライフスタイルの変化に対応して加工しやすくし、

③維持管理がしやすい(コストもかかりにくい)

建物を建てて、且つ、維持管理をきちんとしていかねばならない。

建築技術は進歩していて、①は充分可能。通常の2割増のコストで可能といわれている。②については。構造をスケルトンインフィルに分けて内部の間取 りや仕上げを変更しやすくする。また、配管や配線を付加できるような構造にしておく。③については設備類をメンテナンスしやすい構造にすることや耐久性の ある建材を使うなどに工夫でクリアー。

と、めでたしめでたし!、の話のようであるが、実際にできるのだろうか?

実際に欧州の組石造の建物や日本の古民家などは200年以上使われているのだが、世界を見回してもかなり希少な建物ばかりだ。本来維持できる建物も経済情勢や社会情勢による都市計画(まちづくりという名の開発等)などによって、その姿を残さなくなっている。

また、ストックが過剰な戸数(現在でも世帯数に対して700万戸のオーバーストック)になった場合、そもそも住む人がいなくなる、なんて事はないだろうか。・・・自ずと社会的な寿命を迎えることになる。

今後も既存の建物がどんどん寿命を迎えていくので、それらが超長期住宅(200年住宅)に建替わるまでに相当な期間を要するだろう。したがって直ぐに超長期住宅がスラム化することはない。だが、200年先までヨメナイ。

先にも記載したとおり長期に使える建物が増えることについては大賛成である。また、戸建てでは30年程度で価値がなくなってしまう日本の中古住宅流通は異常であり、これらは改善されるべきである。

しかし、いきなり200年というのは如何でしょうか。平成14年、16年に自民住宅土地調査会で政策提言された「100年住宅」くらいにして、もっと実行性の高い誘導をしたほうが良いのではないでしょうか。

尚、建物の寿命を延ばすことによって中古住宅の価値を高めて流通させていく、ことについては、また別の機会に記載します。

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