2008年03月24日(Mon) マンション建替え、それぞれの思い

数年前から、マンション建替えのコンサルタントとして関わっている。

現在進んでいるものは、いづれも保留床(建替えた際に余って売ることのできる床)が少なく、マンション管理組合が主体となって進めているもの(自主建替え)だ。

保留床が多く、デベロッパーなどの事業者とタイアップできる物件は、事業計画や資金計画が安定し、保留床の売却による収入で組合員には経済的な軽減が図られるが、自主建替えでは変動要素などを組合員がリスク分担する。

経済的に余裕のある方、無い方、その他様々な事情や思惑を抱えながら方向性を議論していく。

2つの物件については、建替え決議を可決したが、尚も細かな計画固めは続いていく。

この大変な事業が推進できるか、否かは、推進してく役員の熱意が大きく関わっていると思う。(勿論コンサルも頑張っているつもりです。)

単に経済的な話でなく、それぞれの思いを酌み上げ杓子定規な議論だけではない、考え、気持ちを共有しなくては成り立たないのだと思う。

私がよく言う僭越な言葉だか、家づくりをすると人は成長する。自分を見つめなおし、また、家族や周囲にいる人たちの事を考えるからだ。

建替えを検討しているマンション管理組合の構成員はほとんどが高齢化していて、代替わりしている世帯も多い。その諸先輩方に本当に僭越な言葉なのだが、建替えという容易ではない事業を通して大きく成長していただきたい。これだけ自助と互助を考える機会はあまり無いと思う。

そして私は、各々の人生の大事な時期に関わらせていただくことに大きな感謝をしているし、皆さんに負けず人として成長したいと思う。

当社のマンション建替えの解説ページはこちらです。

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2008年03月03日(Mon) 出世払い

杉並区の某所で借地権の土地の有効活用のご相談に乗っている。
様々な要因があり、容易でない計画だ。
この敷地は、私が大変お世話になった設計事務所の所長Tさんが奥様に残したものだ。
Tさんとは、十数年前にマンションの共同建替え事業をご一緒した。

Tさんが癌で亡くなったのは、この共同建替えのプロジェクトの最中だった。

当時未だ20代だった私は、大変お世話になり勉強をさせていただいた。実務的な事柄よりも、関係者との関わり方、問題が起こったときのスタンスの取り方などを多く学んだ気がする。

私が常に思っている、建築プロジェクトは「箱」を作れば良いのではなく、それを使う「人」、つくる「人」を大事にすべきである、という考えはこの頃に私の中で明確になった。

当時、良く夜遅くまで打ち合わせ等をしては酒、飯をご一緒した。正確にはおごっていただいた。寿司屋などで勘定をする際に、私も財布を出してみるが、いつも支払いはTさんだった。

「では、出世払いで!」と私が財布をしまうと、

「出世払いというのはね。きちんとした人はいないんだよ」と暖かい笑顔で嗜められた。

10年余りが経ち、私はあまり出世しておらずまた、今回が出世払いの機会とはいえないかもしれないが、今回、難易度の高い計画を纏め上げることによって、ささやかでも、Tさん(Tさんが心から愛していた奥様)にお返しができれば幸だと思う。

石川修詞

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2007年10月31日(Wed) つくる魅力、売るときも魅力?

~コーポラティブハウスの「自由設計」と「不動産価値」~

コーポラティブハウスは自由設計を基本としている。当然ながら一つの集合住宅の中に、二つとして同じ部屋は存在しない。住み手の感性が、そして創意工夫がいたるところにちりばめられ、世界に一つだけの独創的な輝きを放つ。

コー ポラティブハウス説明会に来場いただいた方より「一般の分譲マンションを数多く検討したが、自分が求める住宅に巡り会えず、その結果コーポラティブハウス へと辿り着いた」との声を多くいただく。また、最近のご質問として、「自由設計でつくったマンションは売却時、不動産の価値としてどうか?」というものも 多い。

今回はコーポラティブハウスの魅力と価値について改めて考えてみたいと思います。

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2004年06月11日(Fri) 趣味のための空間

誰しも趣味の一つや二つは持っていて中には「仕事が趣味です。」という人もいますが(私もそうかもしれない)、多くの人の場合、「リフレッシュする時間を持つ」「教養や精神的なゆとりを持つ」ことが趣味の大きな役割だと思います。

趣味に費やす時間は、ここ近年増加傾向のようで、家の中で趣味のための活動が出来るよう、家をつくる際に趣味のためのスペースを設ける人も多くなりました。

ある人は、大音量で音楽を聴いたり、映画を見たりしたいので防音のホームシアターをつくり、ある人は、写真の現像室をつくり、またある人は、油絵の アトリエをこさえたりと、様々に楽しんでいます。最近では、ワインに凝っている方が増え、床下収納をワイン庫として利用するケースも多く見受けます。比較 的温度変化のない地下収納庫はもってこいです。

自宅に招かれた時にワインをいただく機会も多くなりました。ワイン好きの方は、リビングダイニングでの飲食がくつろげるよう、空間や素材、照明など にこだわっているところが多く、心地よくて長居をしてしまいます。遠慮をしない私は(全くワインの知識なく)いつも大量にご馳走になってくるので、きっと 迷惑な客に違いありません。

少しは勉強して、これから伺う時には(自分が飲む量以上の)気の利いたワインを持参しようと思っています。

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2004年05月23日(Sun) 夫婦の小競り合い、大競り合い

家を所得するときの家族…、もっと限定していうと「男と女」には考え方、好みに大きな隔たりがある場合があります。ぴったり同じ考えを持っている夫 婦は、極めて少数です。人間ですから、夫婦だろうが親兄弟だろうが好みが違って当たり前、ぴったりということは本当に珍しいことです。

ですから、お互いを尊重して意見の違いを調整したり、譲り合ったりしながら取得する家を選択していくわけですが、これが意外と簡単な事ではありませ ん。譲る部分が多いと、まあいいや、なんてその場は思っていても、もくもくとフラストレーションが溜まってくるものです。これらを解消するには、

① コミュニケーションを充分に図りながら、

② 相手の考えや好みを尊重した上で、

③ 言いたいこと、主張したいことはきちんと主張する。

④ 主張の食い違うところは、きちんと話し合って、譲るところは譲る。

といったことが重要だと思います。注文住宅の計画中の折り合いのつけ方としては、キッチンは妻が主導で、寝室の内装は夫が主導する、などパーツに分 けて調整することも有効です。但し、パーツに分けてもお互いが利用するところですから、あまりちぐはぐにならないよう調整が必要ですし、内容をお互いが理 解しあうことも必要です(予算も絡みます)。

家を取得する世帯、特に一時取得の世帯は、働き盛りの年代が多く、お互いが忙しくて充分なコミュニケーションが図れず、ストレスを感じる時期があります。家を取得することは、それなりにエネルギーの要るものなのです。

注文住宅を建てる場合などは、その設計時期に応じて決定しなければならないことがいくつもあり(依頼する設計、工務店などによりその差はありますが)、エネルギーを費やすものです。

そうした共同作業を行うことによって、相手の価値観に触れ、自分自身も自分のライフスタイルを見つめることになり、夫婦の絆が一層深くなることもあれば、逆に、溝ができてしまう(モトモト溝がある場合には、深まってしまう)こともありえるのです。

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